岩手県北部に位置する久慈管内は、北上高地と三陸海岸というダイナミックな自然環境に抱かれた地域です。冷害をもたらすヤマセや大雪など、この地の気候風土は決して生易しいものではありません。しかし、その一方で、こうした過酷な自然環境と上手に付き合う生活様式や食文化こそ、わたしたちが大切にしているものです。
たとえば、わたしたちが最も大切にしている食材のひとつである短角牛は、夏山冬里という飼育方法がとられてきました。これは、北上高知の穏やかな山頂部を夏の放牧地として用い、雪に閉ざされる冬は里の牛舎に戻すという飼育方法です。こうした飼育方法は、この地の風土を熟知しているからこそ生み出されたといえます。もちろん、短角牛だけではありません。山菜や川魚といった森の恵み、稲作が不可能な山間地が多いために根付いた雑穀食などの伝統食がこの地の人々にきちんと受け継がれています。そして、さらに世界有数の漁場として知られる三陸の魚介と、それを活かす知恵が加わります。久慈管内はまさに食の宝庫なのです。
総合農舎山形村は、こうした土地の食材を大切にしながら、今後も安全でおいしく魅力あふれる商品づくりを目指していきます。

この地域では、山ぶどうは貧血や滋養強壮、体調不良時の気付け薬としてよいとされ、古くから親しまれてきました。
甘酸っぱい酸味が特徴の山ぶどうは、他の果実と比べ、鉄分、カルシウム、カリウム、ポリフェノール、食物繊維、リンゴ酸などを多く含み、さらにビタミンB1やビタミンB2、ビタミンCなどのビタミン類も含まれています。
山ぶどうは小粒でたくさん種があるため、可食部が少なく、絞れる果汁も多くはありません。そのため、飲料用の果汁を確保するためには、たくさん収穫しなければならないという問題もありますが、栽培を行うことで、収穫量を確保しています。
久慈管内では、久慈市、洋野町、野田村、普代村の4市町村で山ぶどうを栽培しています。

 
 

総合農舎山形村では、こうした魅力をもつ山ぶどうに早くから着眼し、試行錯誤を繰り返しながら創造性あふれる商品の開発に努めてきました。
現在、農舎が自信をもってお届けするのは、本格派ワインの味わいが楽しめる山ぶどうワイン、山ぶどうのフルーツソース、フレッシュな味わいをそのまま詰め込んだ山ぶどう果汁、山ぶどうを丸ごと使った山ぶどうピューレの4種で、いずれの商品も地元の山ぶどう生産者より直接原料を仕入れて作ったオリジナル商品です。
爽やかな酸味と滋味あふれる甘さ、そして、豊富な栄養素と、魅力いっぱいの山ぶどう商品をぜひご賞味ください。

また、環境への取り組みとして、売上から「イヌワシ基金」へ寄付する活動も行っています。基金で、森林を間伐し、絶滅が危惧されているイヌワシを保護する目的です。

 

 

イヌワシ基金

東北環境研では、植樹、間伐による森林機能の維持向上(生物多様性・水源保全・景観保護・二酸化炭素吸収など)のための森林整備活動を行なっています。
イヌワシ基金は絶滅危惧種であり天然記念物でもある希少種のイヌワシを生態系のシンボルとして、森林の間伐を行う事業による針広混交林の導入、荒廃地やスキー場跡地に植樹を行う事業による森林再生などを行なっています。
間伐では列状間伐として、イヌワシの餌狩場のための2伐4残・4伐8残などの方法や、間伐材を利用した小動物の隠れ家作りなどを提言実践し、岩手県川井村交友林で活動を行っています。
植樹では、食餌木の植樹や土壌特性と適応樹種の調査研究などを、」岩手県八幡平市松尾鉱山跡地で行っています。
イヌワシ基金は、活動に賛同する企業が、販売商品の売り上げの一部を資金として提供することで、購入者の方々も一緒にこの環境活動に参加するというものです。

 

久慈地方は、夏場の冷涼な偏西風であるヤマセに悩まされてきました。夏であっても冷たい濃霧を発生させるヤマセは、日照不足や冷害をたびたびもたらしてきたのです。
雨よけほうれんそうは、こうした久慈地方での「日照りが少なく冷涼な夏」という自然環境を逆手にとり栽培しているものです。本来、日照りに弱いほうれんそうの旬は冬場ですが、ハウス栽培して、雨をよけることで夏場でも出荷を可能にしています。
また、夏に比べ晴天率が高く日照時間が多い冬場は「寒じめほうれんそう」としても栽培しています。これは、寒さのなかゆっくりと約120日もの期間をかけて成長させるもので、低温条件の下、じっくりと養分を蓄えた結果、一般栽培に比べ糖度は約4割高、ビタミンCにいたっては約6割高になるとの調査結果が報告されています。
久慈のほうれんそうの質のよさは近年高い評価を受けるようになり、地元を代表する特産品へと成長しています。

 

北上高知は、天然のまつたけの産地としても知られています。なかでも総合農舎のある旧山形村は、香り高く滋味深いまつたけが採れることで有名です。わたしたちは、村のまつたけ名人から高品質のまつたけを譲ってもらい、加工品づくりに活かしています。
秋になればまつたけのほか、ナラタケやナメコなど、多種にわたるきのこが産直などに並びみます。いずれも個性的な香り、味をもつものばかり。秋は山の豊かさを実感する瞬間でもあります。
また、天然きのこ以外にも、原木シイタケの栽培も盛んに行われています。地元のナラを原木として使用し、ハウスで丁寧に栽培されるシイタケは、天然ものに勝るとも劣らない品質と評判。その香りと奥深い味わいは、豊かな自然環境の恵みのひとつです。